昨日、一昨日と住宅ローンのご相談で、
10年固定金利タイプの繰上返済についてのお話しが続きました。

住宅ローン返済の当初10年間について、
繰上返済を積極的にした方がよいのか、住宅ローン減税を活かすために
10年間は残高を残した方がよいのか、というもの。


この質問の答えは、住宅ローン減税の仕組み上
借入残高や納税額によって戻ってくる控除額が変わるため、
人によって違ってきます。

ようは戻ってくる控除額と支払う利息の
どちらが高いかという計算になります。

ざっくり言うと、借入額が2000万円以内など比較的少なかったり、
所得が500万円程度だと、戻ってくる控除額がそれほど大きくないので、
繰上返済を行って利息を軽減した方がおトクになる可能性があります。

ただ、10年固定金利タイプの場合、
単純に損得だけで判断しないほうが良いことがあります。


10年固定金利タイプの住宅ローンでは、
住宅ローン控除が切れるちょうど10年後に金利の見直しが行われます。

その際、基準となる店頭金利が上がっていなくても、
一般的な“当初期間引下げ型”の場合、11年目の金利が上がります

例えば、店頭基準金利が3.1%、当初の引下げ幅が▲1.9%、
当初期間終了後の引下げ幅が▲1.0%の場合、下の図のようになります。

10年固定_金利水準同一


11年目で金利が上がるということは、返済額も上がるということ。

その際、店頭基準金利が上がっていれば、
下の図の通り、さらに返済額が上がる可能性もあります。

10年固定_金利水準上昇


もし、当初10年間に頑張って繰上返済をしていたら、どうなるか?
それも、利息軽減効果の高い“期間短縮型”で繰上返済をしていたら・・・

実は、返済期間が短くなっていれば、
毎月の返済額はより高くなる可能性があるのです!


さらに、10年後というと、金利だけでなく
家族にもいろいろな変化があります。

例えば、子どもが進学して教育費がかさんでいる。
共働きだった奥様が出産を機に退職していた・・・などなど。

もしかしたら大幅な住宅ローンの返済額アップに
家計が耐えられなくなっていることもあり得ます。


そんなとき、当初10年間で繰上返済せず、
その分の余裕資金が手元に残っていれば・・・

その資金で11年目に“返済額逓減型”で繰上返済すると、
利息軽減効果は低くても、当面の返済はラクになるのです。


例えば、3000万円を元利均等・30年返済、
当初10年間の金利が1.0%、以降3.0%で、
200万円の繰上返済をする場合。

まず、返済5年目に期間短縮型で繰上返済すると、
毎月の返済額は次の通りとなります。
 当初10年間  96,491円
 以降18年間 114,097円(2年3ヶ月短縮)
 利息軽減効果 約160万円


次に、返済11年目に返済額低減型で繰上返済した場合です。
 当初10年間  96,491円
 以降20年間 105,236円
 利息軽減効果 約66万円


利息軽減効果だけを見ると、
5年目に期間短縮型で繰上返済した方が90万円以上おトクですが、
11年目以降の毎月の返済額は約17,000円も上がります。

対して、11年目に返済額低減型で繰上返済した場合、
利息軽減効果は落ちますが、11年目以降の毎月の返済額の上昇幅は
約8700円と半分程度に抑えられます。

さらに、返済額が抑えられた分を貯めておき、
あらためて繰上返済すれば利息軽減効果の差も縮まります。


10年という時間は、
家族にとって大きな変化があって不思議ではありません。

子どもが大きくなってくれば、進学やご主人の転勤、
奥さまの再就職などいろいろなことが見えてくるでしょう。

その間は、家族や金利などの動向を見極める期間であり、
10年後の選択肢を増やすための準備期間と捉えてはいかがでしょう。

住宅ローンの返済当初10年間は、急いで繰上返済するのではなく、
将来の繰上返済資金を貯めることに専念してもよいかと思います。

(ちなみに、金利上昇リスクがゼロで、
 かつ金利が高めの全期間固定金利タイプの場合は、
 まったく違った判断もあるでしょう)


 ▼▼ 本日のテーマと関係する過去のブログ記事 ▼▼
『返済額が大幅上昇?! 固定金利期間選択タイプの金利上昇リスク』
『長く借りる? 短く借りる? おトクな住宅ローンの借り方は?』
『繰り上げ返済貧乏にならないために』


テーマ:住宅ローン
ジャンル:ファイナンス
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