平成25年度税制改正大綱に見る、相続税の増税
先日、ある工務店の社長さんと土地探しについて話していたら、
「これから土地を探す人には、いい時期かもしれないですね」
という言葉が出てきました。
どういうことか?
先月発表された平成25年度の税制改正大綱には、
相続税の増税が明記されています。
そのため、地主さんたちが相続税対策として
土地の処分や資産活用などに動き出し、
結果として土地の流通が増えるのでは?ということ。
果たして、その通りになるかは法案も通っていない段階では
何とも言えませんが、確かに今回の相続税増税案には、
それなりのインパクトがあります。
そこで、本日は税制改正大綱に挙げられている
相続税、及び贈与税関連の項目を見てみたいと思います。
(税制改正大綱の詳細は自民党のHP
からご覧ください)
1)相続税の基礎控除及び税率構造の見直し
・相続税の基礎控除額を、現行の6割に引き下げ
現行 :5000万円+相続人一人当たり1000万円
改正案:3000万円+相続人一人当たり600万円
・相続税の税率構造
2億円を超える金額について税率を引き上げ、
最高税率が55%(6億円超の場合)に。
※平成27 年1月1日以後の相続分から適用
2)相続時精算課税制度の対象外の財産の
贈与税の税率構造の見直し
・20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合
300万円を超える金額について区分を細分化し、
最高税率を55%(4500万円超の場合)に引き上げ。
・上記以外の場合
600万円を超える金額について区分を細分化し、
最高税率を55%(3000万円超の場合)に引き上げ。
※平成27 年1月1日以後の贈与分から適用
この増税により、相続税が発生する件数が
従来の倍程度になるだろうと言われています。
が、増税だけではなく、住宅・不動産関連など
一部で要件が緩和される項目もあります。
3)小規模宅地等の相続税の特例見直し
・特定居住用宅地等の特例の適用面積を、
240平米から330平米に拡充。
・構造上区分のある二世帯住宅でも、敷地を特例の対象に。
4)相続時精算課税制度の適用要件の見直し
・受贈者に、20 歳以上の孫(現行では、推定相続人のみ)を追加。
・贈与者の年齢要件を60 歳以上(現行 65 歳以上)に引き下げ。
5)未成年者・障害者控除の引き上げ
・未成年者控除
現行 :20歳までの1年につき6万円
改正案:20歳までの1年につき10万円
・障害者控除
現行 :85歳までの1年につき6万円(特別障害者は12万円)
改正案:85歳までの1年につき10万円(特別障害者は20万円)
6) 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
・30 歳未満の子や孫への教育資金の贈与について一定の額を非課税に。
・受贈者1人につき1500 万円を限度。
(学校等以外に支払われる金銭については500 万円)
・期限は平成25年4月1日から平成27年12月31日まで。
という訳で、アメとムチで
「60 歳以上の世代が資産全体の6割を保有する中で、
こうした資金を若年世代に移転させ」(税制改正大綱より)、
経済を活性化しようという狙いなのでしょう。
この相続税増税は、これから国会等の審議が行われるため、
まだ決定ではありませんが、数年前から挙がっていたもの。
今回の税制改正大綱の冒頭にある「基本的考え方」にも
「相続税については、地価が大幅に下落する中においても、
バブル期の地価上昇に対応した基礎控除や税率構造の水準が
据え置かれてきた結果、課税割合が低下する等、
富の再分配機能が低下している。こうした状況を受けて、
課税ベースの拡大と税率構造の見直しを行う」
との一文があり、恐らく、このまま成立すると思われます。
そう考えると、冒頭の工務店の社長さんの言葉の通り、
土地の流通量が増えるかもしれませんね。
▼▼ 本日のテーマと関係する過去のブログ記事 ▼▼
『平成25年度税制改正大綱決定 ~住宅分野の消費税増税対策~』
『税制優遇の運用はグレー?! 贈与税非課税の特例のケース』
『贈与税非課税の特例でもらった住宅資金に、相続税がかかる?』
「これから土地を探す人には、いい時期かもしれないですね」
という言葉が出てきました。
どういうことか?
先月発表された平成25年度の税制改正大綱には、
相続税の増税が明記されています。
そのため、地主さんたちが相続税対策として
土地の処分や資産活用などに動き出し、
結果として土地の流通が増えるのでは?ということ。
果たして、その通りになるかは法案も通っていない段階では
何とも言えませんが、確かに今回の相続税増税案には、
それなりのインパクトがあります。
そこで、本日は税制改正大綱に挙げられている
相続税、及び贈与税関連の項目を見てみたいと思います。
(税制改正大綱の詳細は自民党のHP

1)相続税の基礎控除及び税率構造の見直し
・相続税の基礎控除額を、現行の6割に引き下げ
現行 :5000万円+相続人一人当たり1000万円
改正案:3000万円+相続人一人当たり600万円
・相続税の税率構造
2億円を超える金額について税率を引き上げ、
最高税率が55%(6億円超の場合)に。
※平成27 年1月1日以後の相続分から適用
2)相続時精算課税制度の対象外の財産の
贈与税の税率構造の見直し
・20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合
300万円を超える金額について区分を細分化し、
最高税率を55%(4500万円超の場合)に引き上げ。
・上記以外の場合
600万円を超える金額について区分を細分化し、
最高税率を55%(3000万円超の場合)に引き上げ。
※平成27 年1月1日以後の贈与分から適用
この増税により、相続税が発生する件数が
従来の倍程度になるだろうと言われています。
が、増税だけではなく、住宅・不動産関連など
一部で要件が緩和される項目もあります。
3)小規模宅地等の相続税の特例見直し
・特定居住用宅地等の特例の適用面積を、
240平米から330平米に拡充。
・構造上区分のある二世帯住宅でも、敷地を特例の対象に。
4)相続時精算課税制度の適用要件の見直し
・受贈者に、20 歳以上の孫(現行では、推定相続人のみ)を追加。
・贈与者の年齢要件を60 歳以上(現行 65 歳以上)に引き下げ。
5)未成年者・障害者控除の引き上げ
・未成年者控除
現行 :20歳までの1年につき6万円
改正案:20歳までの1年につき10万円
・障害者控除
現行 :85歳までの1年につき6万円(特別障害者は12万円)
改正案:85歳までの1年につき10万円(特別障害者は20万円)
6) 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
・30 歳未満の子や孫への教育資金の贈与について一定の額を非課税に。
・受贈者1人につき1500 万円を限度。
(学校等以外に支払われる金銭については500 万円)
・期限は平成25年4月1日から平成27年12月31日まで。
という訳で、アメとムチで
「60 歳以上の世代が資産全体の6割を保有する中で、
こうした資金を若年世代に移転させ」(税制改正大綱より)、
経済を活性化しようという狙いなのでしょう。
この相続税増税は、これから国会等の審議が行われるため、
まだ決定ではありませんが、数年前から挙がっていたもの。
今回の税制改正大綱の冒頭にある「基本的考え方」にも
「相続税については、地価が大幅に下落する中においても、
バブル期の地価上昇に対応した基礎控除や税率構造の水準が
据え置かれてきた結果、課税割合が低下する等、
富の再分配機能が低下している。こうした状況を受けて、
課税ベースの拡大と税率構造の見直しを行う」
との一文があり、恐らく、このまま成立すると思われます。
そう考えると、冒頭の工務店の社長さんの言葉の通り、
土地の流通量が増えるかもしれませんね。
▼▼ 本日のテーマと関係する過去のブログ記事 ▼▼
『平成25年度税制改正大綱決定 ~住宅分野の消費税増税対策~』
『税制優遇の運用はグレー?! 贈与税非課税の特例のケース』
『贈与税非課税の特例でもらった住宅資金に、相続税がかかる?』
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