昨日は、住宅事業者向けの勉強会でした。

お昼過ぎから夕方まで、いくつかのテーマがありましたが、
その中の一つが『曳家(ひきや)だから見えた被災地の実態・・・
事前の対策・事後の補修を同考えるか』


昨年の東日本大震災で受けた液状化の被害と補修について、
実際に現場で作業をしている太豊工業の安田社長が、
実体験に基づいて報告して下さいました。


"曳家"というのは、すでに建っている建物を
別の場所に移動させる仕事のこと。なぜそんな仕事をする人が、
地盤にまつわる液状化の補修工事をするのかというと、
新しい基礎の上に建物を移す際に不陸(レベル)調整が必須で、
その技術が液状化で不同沈下した建物の修復に役立つからなのです。


現場の写真もふんだんに織り交ぜながら、
液状化の実態を拝見しましたが、想像以上のスゴイ状況で、
安田さんの言葉を借りると「きれいに傾いている」というもの。

どういうことかというと、
あれだけの揺れがあって傾いたのだから、
建物が大きく損傷していると思いきや、そんなことはなく、
損傷どころか壁や基礎などに一切ヒビ(クラック)も無く、
それでいて建物は傾いているそう。

つまり、建物は傾いているけれど、損傷はしていないという訳で、
逆にいうと、傾きを直すことさえ出来れば、充分住み続けられるのです。
そのため、いま液状化の被災地には、全国から曳家業者さんが集まり、
全力で復旧工事をしているところなのです。


ただ、これらの補修工事は、あくまで応急処置に過ぎません。

というのは、建物の傾きは直るものの、
地盤そのものをいじっているわけではないので、
同じような揺れが起これば再び液状化する可能性があるのです。

では、根本的な解決が出来るかといえば、
出来なくはないものの莫大な費用がかかります。
その費用対効果を考えれば、現実的ではありません。

以上のことから分かるのは、次の2点。
 1)現在建っている建物に対して、液状化対策を事前に行うのは困難。
  もし地盤補強などをしようと思ったら、多額の費用が掛かる。
 2)すでに建物が建っているのなら、液状化の被災をした後、
  どのような工法で補修するのか考えた方が良い。



・・・というのは、あくまですでに建っている建物のこと。

これから新築する場合には、
事前の地盤調査や適切な地盤改良工事をすることで、
液状化の被害を多少なりとも軽減させることが出来るでしょうし、
そもそも液状化しにくい土地を選ぶことも出来るでしょう。

液状化は確かに怖いですが、リスクは地震以外にも
水害や風害、雪害などいろいろありますし、
最近では放射性物質の問題などキリがありません。

リスクをゼロにすることは出来ませんが、
しっかりした知識を持ち適切な対策をしておくことで、
かなりリスクを抑えることは出来るでしょう。


 ▼▼ 本日のテーマと関係する過去のブログ記事 ▼▼
『不同沈下や液状化を防ぐ 地盤改良の種類』
『歴史資料から読み解く、名古屋地域の災害と家づくり』
『地震による液状化対策はどうする?』

テーマ:家を建てる
ジャンル:ライフ
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